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みらいのちかせんしゃちょう
未来の地下戦車長
海野 十三
Read 未来の地下戦車長 (みらいのちかせんしゃちょう) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 41,930 characters · 85 screens
「係長さん、ひどいや。僕の頭に、いたい瘤があるのに、それを上から、ぎゅッとおすんだもの」
「ははあ、瘤か。そんなところに瘤があるとは知らなかった。地下戦車長岡部一郎大将は、はやもう地下をもぐって、そして、そんなでかい瘤を、こしらえてしまったのかね」
係長さんは、うまいことをいった。
一郎は、こまってしまった。
そこで彼は、未来において地下戦車長を志すわけを、係長に話をした。
「そうかい、これはおどろいた。君は、本気で、地下戦車を作るつもりなんだね」
「そうですとも」
「それで、なにか、やってみたのかね」
「え、やってみたとは……」
「なにか、模型でも、つくってみたのかね。それとも、本当に、穴を掘って、地下へもぐってみたのかね。頭に瘤をこしらえているところを見ると、さては、昨日あたり、もぐらもちの真似をやったことがあるね」
係長さんは、しきりに、一郎の頭の瘤を、いい方へ考えてくれる。
しかし、この瘤は、そんなことで出来たのではなかった。尤もこの瘤は、昨日出来たことだけは、係長さんのことばどおりであったけれど。この瘤は、じつをいえば、昨日、停電した家へ、一郎がいって、ヒューズの取換えをやったが、そのとき、うっかりして、鴨居へ、頭を、いやというほどぶつけたため、出来た瘤であった。