Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Read 桑の木物語 (くわのきものがたり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 39,815 characters · 79 screens
お祖父さんはとぼけたような顔でこう云った。
「するとできそくないの真桑瓜はおまえのほうじゃないのか」
ひとからこんな侮辱をうけたことはなかった。もしそれがお祖父さんでなかったら、くたくたにのして今戸焼の窯ん中へたたっこむところである。悠二郎は口惜しさのあまりぽろぽろ涙をこぼし、それをげんこで擦りながら云った。
「おいらあ、できそくないでも、真桑瓜でもありゃしねえ、なんにも、降参することなんか、ありゃしねえや」
「そうかな、本当かな」お祖父さんはまたにやにや笑った、「――怪しいもんだな」
彼は発奮した。意地っぱりならひけはとらない、ちきしょうと、歯をくいしばって頑張った。――もちろんそれほど難行苦行というわけではない、慣れてしまえばよいので、おまけによく注意すれば手足を伸ばす隙は幾らでもある。父が役所へでかけたあと、母の眼の届かないところで好きなだけ息抜きをすることができる。またその点では彼はもともと第一流の才があったから、そういう時と処を発見し、それを利用するのにてまひまはかからなかった。
学問のほうは茅野道之助という同藩の侍が、初め三十日ばかり素読を教えにかよって来た。