Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Read 桑の木物語 (くわのきものがたり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 39,815 characters · 79 screens

Aozora Bunko

「よして下さい、こっちはそれどころじゃありませんよ」

「ここで怒ったってしようがない。舟仙がいやならまた金魚の尾鰭でも切ってやるさ、またそろそろ伸びているころだぞ」

悠二郎はくやしがって歯ぎしりをした。

残されたことがどうにもくやしい。新泉はもちろんくいしんぼうの原精一郎まで供をしていった。どうして自分だけ残されたのか、正篤の意志でないことはわかっている、おそらく誰かの邪魔だろう、正篤から自分を離そうと思うやつの策動に違いない。

――いったいどいつの仕事だろう。

新泉かと幾たびも思った。しかし気性こそ合わないが、彼は新泉がそんな人間でないということを知っていた。まさか原のくいしんぼうではあるまいし、ほかに思い当る者はひとりもない。そこでまたふっと新泉の名が頭にうかび、慌ててまたうち消し、自分でもしまいにうんざりして、よし、そんならこっちは息抜きをしてやれ、と、ようやく肚をきめた。

舟仙へもいったが、面白くはなかった。

「あら、信さんどうなすって」

「わからねえやつだな、このまえ来たとき云ったじゃねえか、殿さまの供をして国へいってるんだよ、なんど云やあいいんだ」