Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Read 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) by 梅崎 春生 (うめざきはるお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 169,810 characters · 345 screens
「潤滑油って、燃えるものかね」
「ええ。燃えますよ。しかしよほどの熱を与えないと、燃えにくい。バンドはきつくしめといた方がいいですよ」
丹尾はポケットから洋酒の小瓶を取出して栓をあけ、一気に半分ほどあおった。五郎に差出した。
「どうです?」
五郎は頭を振った。丹尾は瓶を引込め、ポケットにしまった。機は洋上に出た。
「こわいですか。顔色が悪い」
「いや。くたびれたんだろう」
こわくはなかったが、体のどこかが震えているのが判る。手や足でなく、内部のもの。気分と関係なく、何かが律動している。そんな感じがあった。
機は洋上に出た。速力がすこし鈍ったらしい。錦江湾の桜島をゆっくり半周して、高度を下げた。空港の滑走路がぐんぐん迫って来る。着地のショックが、高松や大分のとくらべて、かなり強く体に来た。しばらく滑走して、がたがたと停った。特別な形をしたトラックが二台、彼方から全速で走って来るのが見える。五郎はバンドを外した。爆音がなくなって、急に機内の空気がざわざわと泡立って来た。
外は明るかった。南国なので、光線がつよいのだ。タラップを降りる時、瞼がちかちかと痛かった。