Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Read 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) by 橘 外男 (たちばなそとお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 247,361 characters · 483 screens
無事に祝宴の済んだ気疲れか? とも思ったが、ともかく身体がなんとなくだるい。念のため寝る前に、いつも来てくれる主治医のハンメル博士を呼んで、診てもらった時であった。毎度のことで博士は、
「大丈夫ですよ、奥様、軽い脳貧血でも、お起しになったのでしょう」
と気にもかけずに脈を見たり、聴診器を当てたりしていたが、そのうちにおや? といった不審の色を眉に走らせた。
「これはちょっと、おかしいですね、その時何か匂いましたか? どんな匂いがしたのです?」
と改まって急に症状を聞き質す。
「芝生に寝転んだような気が、なさった? フム……青臭い匂いがなさった? と。……フム……フム……奥様これは、その時麻酔剤を、お嗅ぎになったのです。軽微な……ごく軽微なクロール・エチルを、お嗅ぎになったのです」
とさらに念を入れて、診察し直したのには驚かされた。してみると、さっきお相手をしている間に、殿下は麻酔剤をおかけになったのであろうか? それだから芝生に寝転んでるような青臭い匂いがして、あんなに頭が茫っとしたのであろうか? そして、庭のベンチに凭れている間に、親切そうに装いながら、ほんの一分か二分の間に、殿下は頸飾りを外して腕環を外して、スグには気付かぬようにそこへ模造品をかけ換えておおきになったのであろうか? 第一、右手を背へ廻し左手