Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Read 江戸三国志 (えどさんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 577,271 characters · 1141 screens

Aozora Bunko

「ど、どこへ行くんですか親分」

「わからねエのか」

「だって、あんまり不意じゃありませんか」

「まあいい、あとを閉めておけよ」

「帰らねえンですか、今夜は」

「あさッて市で会うだろう」

もうその影は、紺屋の空地を斜に抜け、後ろ姿を怪魚と見せて、夜干しの布の浪をくぐッて行く。

曲がりくねッた露地の溝板をふみ出すと、急に明るい大通りがあらわれる。文字どおりな浅草の宵、目に痛い繁昌ぶりです。夜霧と明りの滲み合っているところに、観音堂の法城が一まつの薄墨をはいているほかはすべてこれ、目まぐるしい交響とうごきでありました。

その中に、かれの目は鋭く何かを求めている。いうまでもありますまい、背の高い紫の頭巾。

四ツ目屋の奥で、およそは観察していたはず、あてなき探し方ではありません。糸をたぐッて行くように、ここ、あすこ、思う所の横丁や店をのぞいてあるくうちに、チラと、目の中に飛びこんできたのがあの紫です。

三味線屋に腰かけて、しきりと何か出させている。

まぎれもなく、出所のいぶかしい伊太利珊瑚を、四ツ目屋へ売りにきた頭巾の娘。

そこで、紫たんざおの値をきいて、欲しそうになでてはいたが、それは買わないで、買ったのは蒔絵の爪箱と、糸を七かけ。