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うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Read 浮雲 (うきぐも) by 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,980 characters · 222 screens
圧制家、利己論者と口では呪いながら、お勢もついその不届者と親しんで、玩ばれると知りつつ、玩ばれ、調戯られると知りつつ、調戯られている。けれど、そうはいうものの、戯けるも満更でも無いと見えて、偶々昇が、お勢の望む通り、真面目にしていれば、さてどうも物足りぬ様子で、此方から、遠方から、危うがりながら、ちょッかいを出してみる。相手にならねば、甚機嫌がわるい※から、余義なくその手を押さえそうにすれば、忽ちきゃッきゃッと軽忽な声を発し、高く笑い、遠方へ迯げ、例の睚の裏を返して、ベベベーという。総てなぶられても厭だが、なぶられぬも厭、どうしましょう、といいたそうな様子。
母親は見ぬ風をして見落しなく見ておくから、歯癢ゆくてたまらん。老功の者の眼から観れば、年若の者のする事は、総てしだらなく、手緩るくて更に埒が明かん。そこで耐え兼て、娘に向い、厳かに云い聞かせる、娘の時の心掛を。どのような事かと云えば、皆多年の実験から出た交際の規則で、男、取分けて若い男という者はこうこういう性質のもので有るから、若し情談をいいかけられたら、こう、花を持たせられたら、こう、弄られたら、こう待遇うものだ、など、いう事であるが、親の心子知らずで、こう利益を思ッて、云い聞かせるものを、それをお勢は、生意気な、まだ世の態も見知らぬ癖に、明治生れ