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かいていたいりく

海底大陸

海野 十三

Read 海底大陸 (かいていたいりく) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 89,400 characters · 179 screens

Aozora Bunko

そうじゃないよ。われわれはいま、濃い霧の中にはいっているだけのことなんだよ」

「濃い霧の中へはいったのですって? そうじゃありませんよ、事務長。目をやられてしまったんですよ。眼が見えなくなっては、もうなんの楽しみがありましょう。わたしはやっぱり海へはいります」

秘書は絶望のあまり、しきりに海中へとびこみたがった。

「マルラ。気を強くもたなけりゃいけない。第一、海へはいりたいといっているが、その海がどこかに行ってしまったらしいんだよ」

「ええッ、海がどうしましたッ」

「海がなくなったらしいんだ。波の音も聞こえなければ、ブツブツというあわの音もしないのだ」

「海がどこかにいってしまうなんて、そ、そんなばかげたことが……」

そのときであった。ボウボウと、本船の警笛がひびいた。それはいつものさえざえとした音とはちがい、なんだか変な音色だった。しかもそれは、危険信号を伝えていたのである。

「あッ、危険信号だッ」

事務長は、サッと青ざめた。

「これはぐずぐずしていられない。おいマルラ。どうしても電話機をさがさにゃならんのだ。こっちへ来い。いっしょに手をつないで歩きまわった方が、はやく室内のようすがわかるだろう」