Japanese reading practice

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りょうしのむすめ

漁師の娘

徳冨 蘆花

Read 漁師の娘 (りょうしのむすめ) by 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,592 characters · 23 screens

Aozora Bunko

三

即ちお光は七年前、木がらしの恐ろしく寒い夜、潮来と牛堀の間の蘆の中に棄てられて、息も切れる程啼いて居たのを、万作が拾い上げて来たので、何のしるしもなかったから、生の父母は誰か何人か一切分らぬ。七年の間夢にもそれと、知ったでもないから、今は全く此家の女だ、と云う事をこまごまと話した。お光は黙然として聞いて居たが、聞き終って涙ぐんで俯むいてしまった。其の顔をのぞき込んで「光よ。おいらは最早段々年寄って来た。是れから力にするは手前ばかりぞよ」と云うと、お光はほろほろ涙こぼしていきなり婆の頸にかじりついた。

それから、最早如何様に言っても学校には行かない。始終家で遊んで居る。一度「おっかあ、捨児ってどうするの」と聞いたが、母が心を傷むる様子を見てからは、もう何も聞かぬ。真の父母のありやなしや、更に聞かぬ。併し口にこそ言わぬが、其小さい心に一点の暗愁立ち去らぬ霧の如く淀んで居るのは、余所目にも見られる。可愛想にまだ八つ七つのお光は始終捨児真の父母など云うことを、思うともなく思って、独り解かれぬ疑問に心を苦しめて居る。之を知る者は只天道様ばかりだ。

三

万作が住家は前にも言った通り浮島の東北の隅の一軒家で、眺望にかけては恐らく浮島第一の風景を控えて居る。