Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Read 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) by 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 132,395 characters · 263 screens

Aozora Bunko

まして、夜な夜な八住が外出していたということは、またその渦を狭めるものであって、結局、すべてが「鷹の城」に集注されてしまうのだが、そうして、二人はこの短時間のうちに、全身の胆汁を絞り尽したと思われるほどの、疲労を覚えたのであった。

やがて、旧の室に戻ると、そこにはウルリーケが、皮肉そうな微笑を湛えて二人を待っていた。

二、鉄仮面の舌

ウルリーケの顔は、血を薄めたような灯影の中で、妙に狷介そうな、鋭いものに見えた。が、二人が座に着くと、それを待ち兼ねたように切りだした。

「また、朝枝が何か喋っていたようでしたわね。私、あの子が先刻のアマリリスといい、なぜ肉親の母親を、そんなにまで憎しみたいのか理由が判りませんの。ですけど、八住が夜な夜な、きまって暁け方になると、『鷹の城』のある岬の角に、行くことだけは事実でございます。どうして、不自由な身体を押してまでも、八住はそうしなくてはならなかったのでしょうか。そこへ貴方は、毎夜防堤に来る男がある――とおっしゃいます。あああの夢が、だんだんと濃くなるではございませんか」

「なるほど――しかし、他人の夢にはおかまいなさらず、御自分の悪夢の方を、おっしゃって下さい。