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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Read 牛をつないだ椿の木 (かわ) by Niimi Nankichi (新美 南吉) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 75,647 characters · 155 screens

Aozora Bunko

下級生でさえも、あいつ屁えこき虫と、公然指さしてわらった。それを聞いても、石太郎の同級生たちは、同級生としての義憤を感じるようなことはなかった。石太郎のことで義憤を感じるなんか、おかしいことだったのである。

石太郎の家は、小さくてみすぼらしい。一歩中にはいると、一種異様なにおいが鼻をつき、へどが出そうになる。そして、暗いので家の中はよく見えない。石太郎は、病気でねたっきりのじいさんとふたりだけで、その家に住んでいる。

どこかへかせぎに出ているおとっつあんが、ときどき帰ってくる。おっかあは、早く死んでしまって、いない。石太郎は、ポンツク(川漁)にばかりいく。とってきたふなや、どじょうを、じいさんにたべさせる。また、買いにいけば、どじょうやうなぎを売ってくれるということである。

石太郎の着物は、いつ洗ったとも知れず、あかでまっ黒になっている。その着物に、家の中のあの貧乏のにおいや、ポンツクのなまぐさいにおいをつけて、学校へやってくる。そのうえ、注文されなくてもかれは、ときおり放屁する。

みんなは、石太郎のことを、屁えこき虫としてとりあつかっている。石太郎のほうでも、そのほうがむしろ気楽なのか、一どもふんがいしたことはない。