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でんえんじょうちょうあり
田園情調あり
佐々木 邦
Read 田園情調あり (でんえんじょうちょうあり) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,319 characters · 19 screens
同舟の客
「それだから筋が分らなくなるのよ。拙いばかりじゃないでしょう」
「上の空で聞いているんだからね」
「私、悪いと思ったわ」
「決して善いことじゃない。親友を欺いているんだから、気が咎めるよ。寧ろ直ぐに打ち明けて頼む方がいゝかも知れない」
「そうして下さいよ」
「切っかけがつくまで待つさ。伊達君もあれだけの恋愛小説を書くんだから、その中に察して何とか言うだろう」
「待っている方が見識がある?」
「秋ちゃんも皮肉だな」
「オホヽヽヽ」
「真暗だから丁度いゝね」
「何が?」
「誰に会っても分らないから」
「雨が降っていないと、もっと歩くんですけれど」
同舟の客
次の例会には秋ちゃんが先で、水町君が一足後れて着いた。又二人きりで朗読を聞かされるのかと思っていたら、秋ちゃんよりも一級上だった藤岡の朝子さんが来た。とても綺麗な人で村の評判になっているけれど、家が好いからだと秋ちゃんは高をくゝって驚かない。それから神保君と惣夫さんが現れて、かなりの大入りだった。惣夫さんは農大出身で、もう細君がある。一番の年長だから、惣夫さん惣夫さんと重きを置かれる。
「惣夫さん、何かありませんか?」
と会長の伊達君が敬意を表した。