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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Read 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) by 田山 花袋 (たやまかたい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,097 characters · 312 screens
また次のような話もした。
「Lはどうした」
「まだいる! そうかまだいるか」
「仙骨は先生に熱中しているが、実におかしくって話にならん」
「先生、このごろ、鬚など生やして、ステッキなどついて歩いているナ」
「杉はすっかり色男になったねえ、君」
かたわらで聞いてはちょっとわからぬような話のしかたで、それでぐんぐん話はわかっていく。
熊谷の町が行田、羽生にくらべてにぎやかでもあり、商業も盛んであると同じように、ここには同窓の友で小学校の教師などになるものはまれであった。角帯をしめて、老舗の若旦那になってしまうもののほかは、多くはほかの高等学校の入学試験の準備に忙しかった。活気は若い人々の上に満ちていた。これに引きくらべて、清三は自分の意気地のないのをつねに感じた。熊谷から行田、行田から羽生、羽生から弥勒とだんだん活気がなくなっていくような気がして、帰りはいつもさびしい思いに包まれながらその長い街道を歩いた。
それに人の種類も顔色も語り合う話もみな違った。同じ金儲けの話にしても、弥勒あたりでは田舎者の吝嗇くさいことを言っている。小学校の校長さんといえば、よほど立身したように思っている。