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いしのかみとさえのかみと
石の信仰とさえの神と
折口 信夫
Read 石の信仰とさえの神と (いしのかみとさえのかみと) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,221 characters · 15 screens
その力は比喩的で、生殖器のもつだけの力が出て、悪いものを追い退けるということになる。
ところが、生殖器の形をした石というと、普通は男の形だが、女のも考えられてくる。とがったのなら男、くぼんだのなら女と考え、われわれが見ても判断のつかぬものまでも、男とか女とか決めている。説明をきかねばどちらかわからぬ石が、あちこちにごろごろしている。そうだから、九州あたりの「さやんかん」は、道の神とは関係なく、富の神である。花街に祀られている男の生殖器の形をした神も、やはり、富の神である。遊廓だから、エロチックな感じをもちやすいが、それは二の次で、富の神として祀られていたのである。遊廓でこの信仰が育つと、意味は変わってきて、愛敬さま、愛敬石と呼ばれる。今の愛嬌と同じことである。一口で言うと、今の人は、色気と訳してしまうだろうが、「あいけう」(愛嬌)と言うときれいで、「あいぎやう」(愛敬)はきたない色気になっている。いっぺん遊廓にはいって、また、農村などにその愛敬石の信仰が出てきている。
それだけ石の話を前提にしておくと、「さへの神」の話がわかりやすい。さえの神は、なにも生殖器の形でなくてもよく、石でさえあればよいのである。