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かみのごとくよわし
神の如く弱し
菊池 寛
Read 神の如く弱し (かみのごとくよわし) by 菊池 寛 (きくちかん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,929 characters · 28 screens
「君達は、酒が飲めないから、駄目だよ。僕にはやっぱり、飲み友達と云ったようなものが必要だよ。」と、河野はよくそれを弁護した。又、人が好くて、我を出さないで、殊に酔うと、益々無邪気になる河野は、誰にでも友達として、直ぐ受け容れられて行くのであった。
「あの連中との交際は、第二義第三義の交際だよ。君達がやっぱり第一義だよ。」と、河野はそんな事を云った事もある。が、然しそうは云うものゝ、河野がだん/\今迄の友達と離れ、新しい――同時に交際の興味も新しい――友達に、親しみかけて居るのは事実だった。相対する高台と高台とに、住んで居ながら、河野は雄吉を尋ねて来ることなどは、殆どなかった。何時行っても不在なので、雄吉の方から、訪問する気も起らなかった。
今年になってから、仲間中だけで、組織して居る会で、雄吉達は久し振に河野に会った。河野の生活に対する非難が銘々の心の中で、白熱して居た。河野は、入って来た時から、険悪な空気に包まれて居た。細木と藤田とは、つい妙な話の機みから、河野に対する平生の非難を、口に出してしまった。それは、蔭で云って居る河野の悪口のホンの余沫が出たのに過ぎなかった。