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びのにほんてきげんせん
美の日本的源泉
高村 光太郎
Read 美の日本的源泉 (びのにほんてきげんせん) by 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,919 characters · 25 screens
エジプト―アッシリヤ系の美の大源泉は、考古学的時代からの数万年に亘るエジプト文化が生んだ所謂「死の書」の宗教に伴って、王と奴隷とを表現する雄渾単一な厖大な美の形式であり、今日でもその王は傲然として美の世界に君臨し、その鷹や猫は黒花崗岩の中に生きている。そして絶え間なく諸民族の新らしい美に多くの示唆と激励とを与えている。西暦三世紀に及んでエジプトの伝統芸術は既に終を告げたが、その美の大源泉はまだ世界に生きている。アッシリヤ亦然り。アッシリヤに聯関してアラビヤ、イラン系の美は中位の存在として長く今日につづいている。世界の美の源泉として最も猛威をふるっているのはギリシャ―ロオマ系と、ビザンチン―ゴチック系との二つであろう。共にアリヤン民族の美の大系譜である。今日の欧米諸民族の美の源泉は悉く此の二系統にその母体を持つ。欧洲に於ける如何に飛び離れた新らしい美も此の二系統の外に出る事は出来ない。彼等の美的教養の限界がそれをゆるさないのである。欧米の国力は殆ど世界を制覇していたので、今日まで彼等の美は即ち世界の美となった。ギリシャの円柱は現に東京丸の内にも立っている。