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びのにほんてきげんせん
美の日本的源泉
高村 光太郎
Read 美の日本的源泉 (びのにほんてきげんせん) by 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,919 characters · 25 screens
これこそ美の世界性であって、人類の親和本能がこれを行わしめるのである。東亜に於ては古来漢民族の美の源泉が優勢を占めていて、東亜の美といえば即ち支那系の美であるように世界に認められていた。欧洲の学者の多くは日本の美をも支那系と目している。少くとも支那美の一傍系と見ているようである。大和民族に独立の美の一大源泉があって、まったく世界のいずくにも類を見ない特質を持っている事を正しく認識している者は少い。甚だしきは支那を学んで及ばざる者が日本の美だと考えている。日本の寺院建築は支那の建築を学んだが、その規模も輪奐の美もはるかに支那に及ばない。日本の仏教美術は支那に学んだが、摩崖の大も日本には無く、宋元の幽玄の深さも日本には見ないと説くのはただに欧米人ばかりではない。これこそ美の源泉そのものの相異を認識する力無き者の商量であるといわねばならない。
日本に於ける大和民族の美の源泉は深く神々の世の血統の中にある。幾千年の歴史の起伏を経て、美の相貌には種々の変化を見たが、美の本質に於ては今も太古の如くである。太古は今の如く新らしく、古事記は今日の書である。日本に於ける美の源泉は古来人知れず世界の一隅に涌きつづけていた。