Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はですがたまんねんわかしゅ
艶容万年若衆
三上 於菟吉
Read 艶容万年若衆 (はですがたまんねんわかしゅ) by 三上 於菟吉 (みかみおときち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 33,800 characters · 67 screens
お春悲恋に哭いて自害する事
「よいよい、案じないがよい。それでは其方も気をつけて……」
「母さん。今夜もあまり帰りが遅いようなら先にやすんで下さりませ」
お春は何処か歓楽の栄の巷へでもゆくように、よろこびいさんで外へ出ます。
「駕籠屋さん、途のりが遠いほどに急いでやって下さんせ」
お春は老いた母人をも、遠く船出をする兄人をも、すっかり忘れて了ったように、はしゃいだ声でこう言い乍ら、やさしく駕籠に身をのせました。
戸口に立った母兄の、どこやら心配そうな顔を、駕籠提灯がぼんやり照すのでした。
お春悲恋に哭いて自害する事
根岸の里を物さびしい夜闇が侵しはじめたころ、片里が住居を打立った三挺の駕籠があって、上野山下を飛ぶがごとく、切通しから湯島台へと上ってゆき、天神の辺り、見はらしの良い茶亭にはいりましたが、これが即ち片里をはじめ、露月、呉羽之介の連中でした。
家のものに迎えられて、広やかに物数寄な一間に通り座が定まった時、呉羽之介は仲居に向い、
「此れよ。先程使を遣わし置きしが、音羽へ迎えを出してくれたか」
「はいはい早速仰のままに、迎えの駕籠を差出しました。もう押付けお春どのもお見えになるところでございます」