Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

おちばのとなり

落葉の隣り

山本 周五郎

Read 落葉の隣り (おちばのとなり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,877 characters · 57 screens

Aozora Bunko

五人はぐずぐずとそこをはなれ、なにかあくたいをつきながら、駒形のほうへ逃げていった。繁次は石垣にしがみついたままこのようすを見ていたが、参吉に感謝するよりも、自分が人に助けられたという、みじめな、やりきれない気持でまいった。

それから半月くらいあとに、長屋の路地で出会ったとき、参吉のほうから繁次に笑いかけて、将棋をささないかと云った。参吉は色の白いおも長な顔で、眉が濃く、いつも屹とひきむすんだような口つきをしてい、話しぶりや動作もおっとりと、ぜんたいが大人びていた。繁次は眩しいような眼つきをし、将棋は知らないんだと答えた。

「そんなら覚えればいいさ」と参吉が云った、「うちへ来ないか」

繁次は初めて参吉の家へいった。

参吉は両親がなく、茂兵衛という祖父と二人ぐらしであった。ずっとあとでわかったことだが、参吉の父母は夫婦養子で、茂兵衛と折り合いが悪く、そのときから四年まえに、長屋を出て別居してしまった。繁次はその二人をうろ覚えに覚えていたので、どうしていなくなったのか不審に思ったが、なにかしら訊いてはいけないような感じがしたので、参吉にはなにも云わなかった。