Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens
」
「可哀そうなおじさまね、でも、やむをえないわね。」
「やむをえないね。併し片側の出来栄えは、なかなかいいじゃないか。やっと今度こそ生涯の垣根が出来た訳だ。」
「おじさま、此処へいらっしゃい、石塀の上に腰かけていると、ずっと町の彼方まで見えて来て、いい気持だわよ。」
「高きに登るということは、いいね。石塀を作って置いて宜かった。」
「あたいね、おじさまがおはなれをお毀しになるか、そのまま突っぱねるかどうかと、じっと見ていたわ。」
「この前、そうだな五年くらい前だ、お隣のおじさんが来てね、あなたも名誉のある方だから、いますぐとは申しませんが、塀を作りかえるような事があったら、地所は還してくださいと、そう言われていたんだ、地所といったって、僅か一尺に足りない軒先だけがお隣に飛び出していたんだがね、そこでお隣では、後日のために一枚の書附をくれといってね、おじさんは書附を書いて渡して置いたんだよ。」
「どう、お書きになった。」
「必要の時期にははなれを取毀しても、地所の出っ張りを引っこめますと書いたね。」
「その時期が来て了ったのね、今度は石の塀だから永い間壊れないから、軒先を引っこめたのね、だから、おはなれのお床の間がまがっちゃった。