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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Read 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,662 characters · 174 screens
」
「だから素直にこわして雨落ちも、お隣に落ちないようにしたんだ。」
「地所というものは、憂鬱な境をもっているものね。」
「人間はむかしから国と国の間でも、そのために戦争もして来たんだし、個人の間でも、がみがみ咬み合ったもんだよ、だから、おじさんは地所というものは、一坪も持っていない、此の家も借地だし軽井沢の地所も借りている。」
「軽井沢に一度連れて行ってよ、汽車の中でも、温和しくしていますから連れてって。」
「土瓶に水をいれて、きみをつれて行くか。」
「駅々で水をかえてくださらなきゃだめ。水が列車でゆれどおしだから、あたい、ふらふらになっちゃって、とても草臥れてしまうのよ。」
「山の水はきみにはどうか。」
「山の水にひたると、あたいのからだは燃え上って来るし、瞳は一そうキラキラになるわ。あたい、おじさまと毎日山登りをするわ。ね、考えても愉しいじゃないの。魚は木を越え山に登ると、誰かもいったじゃない? あたい、せいぜい美しい眼をして見せ、おじさまをとろりとさせてあげるわ。」
「きみは人間に化けられないか。」
「毎日化けているじゃないの、これより化けようがないじゃないの。