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まずしきしんと
貧しき信徒
八木 重吉
Read 貧しき信徒 (まずしきしんと) by 八木 重吉 (やぎじゅうきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,888 characters · 11 screens
障子
桐の木
ひかる人
木
お化け
踊
素朴な琴
響
おまえはまた懐手しているのかといってみおろしている
障子
あかるい秋がやってきた
しずかな障子のそばへすりよって
おとなしい子供のように
じっとあたりのけはいをたのしんでいたい
桐の木
桐の木がすきか
わたしはすきだ
桐の木んとこへいこうか
ひかる人
私をぬぐうてしまい
そこのとこへひかるような人をたたせたい
木
はっきりと
もう秋だなとおもうころは
色色なものが好きになってくる
あかるい日なぞ
大きな木のそばへ行っていたいきがする
お化け
冬は
夜になると
うっすらした気持になる
お化けでも出そうな気がしてくる
踊
冬になって
こんな静かな日はめったにない
桃子をつれて出たらば
櫟林のはずれで
子供はひとりでに踊りはじめた
両手をくくれた顎のあたりでまわしながら
毛糸の真紅の頭巾をかぶって首をかしげ
しきりにひょこんひょこんやっている
ふくらんで着こんだ着物に染めてある
鳳凰の赤い模様があかるい
きつく死をみつめた私のこころは
桃子がおどるのを見てうれしかった
素朴な琴
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう
響
秋はあかるくなりきった
この明るさの奥に