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ゆうせいしょくみんせつ
遊星植民説
海野 十三
Read 遊星植民説 (ゆうせいしょくみんせつ) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,014 characters · 9 screens
博士、宇宙はユークリッドで解けると御考えですか」
「近ければ解け、遠ければ解けぬサ」
「博士の御近業は、一体どのくらい遠くまでを、問題になさっています」
「近業とは?」
「判っているじゃありませんの。謂うだけ野暮の『遊星植民説』!」
「ははア、そんなことで来なすったか。だが遊星植民には、欠くべからざる必要条件が一つあるのを御存じかな」
「存じませんワ、博士。それは、どんなことですの」
「いや、段々と判って来ることじゃろう」
「それでは、そのことは後廻しとして、博士。遊星植民説の生れた理由は?」
「とかく浮世は狭いもの――ソレじゃ」
「満洲国があっても、狭いと仰有るの」
「人間の数が殖えて、この地球の上には載りきらないのも一つじゃ。だが、それだけではない。人間の漂泊性じゃ。人間の猟奇趣味じゃ。満員電車を止めて二三台あとの空いた車に載りたいと思う心じゃ。わかるかな。それが人間を、地球以外の遊星へ植民を計画させる」
「まア。必要よりも慾望で、遊星植民が行われると、おっしゃるのネ」
「そうじゃ。能力さえあるなら、人間はどんな慾望でも遂げたい。すべての達せられる程度の慾望が達せられると、この上は能力をまず開拓して、それによって次なる新しい慾望を覘う。