Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Read 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,515 characters · 23 screens
」
「はい。」と若い僧侶は顔色も蒼褪めて、
「はい、もうこうなりますれば、何事も包まず隠さず申し上げますが。」
「うん、好い料簡だ。」
「実は、面目次第もござりませぬが、親分さま、実のところ――。」
と打ち開けた彼の話によると、若い身空で朝夕仏に仕える寂しさから、いつしか彼は笠森稲荷の茶屋女お新と人眼を忍ぶ仲となり、破戒の罪に戦きながらも煩悩の火の燃えさかるまま、終いには毒食わば皿までもと住職の眼を掠めては己が部屋へ引き入れ、女犯地獄の恐しい快楽に、この頃の夜の短かくなりかけるのをうたた託っていたのであった。
元来お新という女は江戸の産れでなく、大宮在から出て来て間もないとのことだったが、田舎者にしてはちょっと渋皮の剥けたところから、茶屋を出す一、二日うちに早くも引く手数多の有様だったけれど、根が浮気者にも似ずそれらの男を皆柳に風と受け流していたのは、当初の悪戯気からだんだん深間へ入りかけていたとは言えけっして随全寺の若僧にばかり女を立てていたからではなく、全くは、大宮から一緒に逃げて来た無頼漢の情夫を心から怖がっていたからであったという。その男が、今日このごろはいっそう兇暴になって、随全寺の一件なぞを嫉妬出し、毎日のように付け廻しては同棲を迫るが、自分はもうあんな男にはこりごりだと、いつかも寝物語に所化へ洩し