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かいひいちようちょう
開扉一妖帖
泉 鏡花
Read 開扉一妖帖 (かいひいちようちょう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,898 characters · 40 screens
とりなりの乱れた容子が、長刀に使ったか、太刀か、刀か、舞台で立廻りをして、引込んで来たもののように見えた。
ところが、目皺を寄せ、頬を刻んで、妙に眩しそうな顔をして、
「おや、師匠とおいでなすったね、おとぼけでないよ。」
とのっけから、
「ちょいと旦那、この敷石の道の工合は、河岸じゃありませんね、五十間。しゃっぽの旦那は、金やろかいじゃあない……何だっけ……銭とるめんでしょう、その口から、お師匠さん、あれ、恥かしい。」
と片袖をわざと顔にあてて俯向いた、襟が白い、が白粉まだらで。……
「……風体を、ごらんなさいよ。ピイと吹けば瞽女さあね。」
と仰向けに目をぐっと瞑り、口をひょっとこにゆがませると、所作の棒を杖にして、コトコトと床を鳴らし、めくら反りに胸を反らした。
「按摩かみしも三百もん――ひけ過ぎだよ。あいあい。」
あっと呆気に取られていると、
「鉄棒の音に目をさまし、」
じゃらんとついて、ぱっちりと目を開いた。が、わが信也氏を熟と見ると、
「おや、先生じゃありませんか、まあ、先生。」
「…………」
「それ……と、たしか松村さん。」
心当りはまるでない。
「松村です、松村は確かだけれど、あやふやな男ですがね、弱りました、弱ったとも弱りましたよ。