Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens
夏樹がちょこちょことついていったあと、音枝とふたりきりになると冬太郎は、
「おかあさんの、あんな押しつけ、いやだな、ぼく。」
くやしさが倍になったような口調で音枝にいう。すると音枝は、安江と代ったような姉ぶりで、
「押しつけなんてひどいわ、あれは、思いやりですよ。」
「思いやりなもんか、ほんとは皮肉だよ。」
「そうよ。おかあさん、ちゃんと見とおしよ。わたしにだってわかったもん。」
「なにが。」
「冬坊が、ひっかかったことさ。」
ちょろっと舌の先を出す音枝に、冬太郎は突っかかる調子で、
「ひっかかったかどうか、わかんないよまだ。」
「じゃあわからして。――さ、福神づけのおつりちょうだい。」
「ちぇっ! いじわる。」
冬太郎はポケットをさぐり、
「これ、百円だよ。四五日したらおくってくるよ。」
ぷいっと立った足下に、聞いたこともない人の名をかいた紙ぎれが落ちていた。
音枝はぱらぱらと日記帳をくった。半月ほど前のところに、
千五百円なり(鳥取の詩人)
とかいてあるのを見つけてにっと笑う。安江が、「内じゃあ詐欺費がずいぶんかさむわね。」といったのを思い出したのだ。第一その鳥取の詩人にもユーモアがあった。