Japanese reading practice

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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens

Aozora Bunko

「馬鹿だよお前は。馬鹿で馬鹿でしようがないよ。いっとくがね、浜ちゃんのことなんて、ほっとけばいいんだ。自業自得なんだからねッ。勝手にさしとけばいいさ。何だね、お前までが、わたしをだます気だったのかい……」

おしまいは泣きながら、安江はまた部屋にひきかえした。しかし音枝は、動転している母を見たことで、とにかく自分のとった処置が誤っていなかったことをさとった。母も、やっぱり父を疑っている――。そう思うと彼女は急に思いついて外に出た。自動電話のボックスにはいると、きびしい顔つきで文吉の勤め先を呼んだ。しかし文吉は外出して留守だった。なるべく早く帰るようことづけをしておいて、花屋によった。姫ゆりの可れんな姿が目を引いたが、今の母の気持を思うと、花を買う気にもなれず、引きかえした。

家へ帰ると、安江はひとりで床をのべてねていた。音枝はほっとした。こうなれば安江が安江らしくなるのは、もう時間の問題である。起き出してくるまでには顔色もおだやかになっているはずだった。だが、夕食になっても安江はふとんから顔を出さない。

「おかあさん、ご飯だけど。」

小さな声で呼びかけてみたが返事がなかった。