Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Read 雑居家族 (ざっきょかぞく) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 140,106 characters · 283 screens
思いがけないというよりも、日がな毎日、きょうはきょうはと待たされて、待ちくたびれて、憤慨しながらあきらめかけていたところへ、彼はまるで、おりを得たような顔つきをして現れたのである。鳴っていた腕っぷしもなえようというものだ。その虚をつきでもするように、兵六さんはいんぎんに両手をつき、
「どうもどうも。つい心やすだてにご無礼いたしました。」
むっとしている安江に、兵六さんは立てつづけて、
「進君から話を聞きましてな、今、あんたの物語を一席していたとこですよ。お安さんという人は、昔から実にできた人だといってね。」
「おだてるのね、相変らず。」
「いやあ、ほんとですよ。わしは、実に何というか、ここの家との妙ないんねんにおどろいとるところですよ。音枝ちゃんはこりゃ、当り前だけどもさ、冬太郎くんでしょう、そしてきょうでしょう。ここの家へ赤ん坊が来た日には、必ずわしが、まるで立会人かなんぞのように三度が三度、ここへ来る回りあわせになる――」
「そういえば、そうだわ。あら、変ね。ふしぎね。三度が三度なんて、なんでしょう。奇縁ていうのかしら。」
恨みがましさも忘れて安江はつい許す気になり、