Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
Read 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 25,586 characters · 50 screens
そして、自分の喚きに釣られたように、きらりと刀を抜いた。みんな同年配の若者たちだから、こういういさましい行動には誘われやすい、きらっと刀が光ったとたんに、みんな揃って抜刀した。
「いけません、いけません、およしなさい」伊兵衛はなだめるように手を振った、「そんなけんのんなことはやめましょう、危ないですから、お互いにつまらないし、貴方がたにけががあってはいけませんから」
「無礼者、動くな」
先に抜いた青年がさっと斬りつけた。
本当に斬るつもりだったかどうか、半分は威しだったろうと思うが、斬りかかったとたん(どうしたものか)その刀は伊兵衛の手に渡った。もちろん受け渡しをしたわけではない、奪い取られたのだ。しかも当の青年は、自分の右手の肱を左手で掴みながら、悲鳴をあげて脇のほうへすっとんだ。他のばあいならもっと手加減をするのであるが、伊兵衛はそのときはむっとしていた。彼は弱い者や貧しい者をいじめる人間に対してはこらえ性がない。誰でもそうだろうが、彼は他の誰よりもそれが激しかった。また、その侍たちにしても、いまの一手で相手の腕がわかる筈である。まるで桁違いなのだから、そこで譲歩すべきであるのに、眼がないというか血気の勇というか、まるっきり逆上したようすで、左右から伊兵衛に向って斬りかかった。