Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Read 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,604 characters · 28 screens

Aozora Bunko

「へえ、そう申しました」

「大ちがいの三助だ。落着したどころか、始まったばかりのところだ」

ニヤリと笑って、

「それで、藤波は、この事件から手を引いたのか」

「……ですから、あなた、引くにもなにも……」

「そいつはいいぐあいだ。……こりゃ、一杯飲めるな」

「え?」

「これで、叔父貴からまた小遣にありつける」

「おや!」

「今日は、桃の節句。……花世の白酒を飲みがてら、ひとつ、叔父貴を煽りに行こう。……馬の尻尾で、白馬にありつくか」

ひょろ松は、勇んで、

「阿古十郎さん。ほんとうに、ものになりますか」

「なるなる。……なるどころのだんじゃない、ひょっとすると、近来の大物だ」

「ありがた山の時鳥……。じゃ、お伴します」

呉絽

顎十郎が、ひょろ松と二人で従妹の花世の部屋へ入って行くと、花世は綺麗に飾りつけた雛壇の前で、呉服屋の番頭が持って来た呉絽服連の帯地を選んでいたが、二人を見ると、美しい眼元をほほえませて、

「おや、お揃いで……。いま、じッきお相手してあげますから、ちッと待っていらッしゃい……もうじき、お琴さんも見えましょうから、そうしたら、みんなで一杯のみましょう」