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くびちょうだい
首頂戴
国枝 史郎
Read 首頂戴 (くびちょうだい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,756 characters · 20 screens
「うむマァざっと然ういうことになる」
「お名残りおしゅうございます」
「泣きもしまいが、泣いては不可ない」
「泣けと有仰るなら泣きますとも、泣くなと有仰れば耐えます」
「祝って貰わなければならないのだよ」
「では笑うことにいたしましょう」
「ナニサ故意とらしく笑わないでもよい」
「では無表情でおりましょう」
「そいつだ」と乞食微笑した。「ああそいつだよ。無表情がいい。……墨をお摩り、何か書こう」
蒔絵の硯箱が側にある。その横に短冊が置いてある。
乞食スラスラと認めた。
「読んでごらん唐詩だ」
「風蕭々易水寒シ」
「壮士一度去ッテ復還ラズ」
膝元に青竹が置いてある。取り上げた乞食、スッと抜いた。
「怖くはないかな、村正だ」
春陽にぶつかって刀身から、ユラユラユラユラと陽炎が立つ。
「怖いお方もございましょう、妾は怖くはございません」
乞食、刀を見詰めている。
「鍛えは柾目、忠の先細く、鋩子詰まって錵おだやか、少し尖った乱れの先、切れそうだな、切れてくれなくては困る」
ソロリと納めると膝元へ置いた。
「華やかな行列が通るのだ。ああ然うだよ、江戸へ向かってな。が、ナーニ見たようなものだ。