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ばれいしょかいきゅうのうた
馬鈴薯階級の詩
中島 葉那子
Read 馬鈴薯階級の詩 (ばれいしょかいきゅうのうた) by 中島 葉那子 (なかじまはなこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,149 characters · 3 screens
馬鈴薯階級の詩 (三)
集ったほほかむり達、
引ぬいて来た生大根の青首にかじりついてる。
空腹に大根は梨の様に甘かった。
「あんまり食べると流産するぞ」
「馬鹿にするない馬じゃあるまいし」
「馬だよこんなもの食う奴は」
元気な笑いを爆発させて
夜中過ぎまでかかる夜業の腹ごしらえだ。
かぼちゃにる時間の余裕すらない
慌ただしい仕事に追われて働きつづけて
さて一俵二円七拾銭の大豆売ったところで
食って行けると思うのか 一たい
「昨日来た乞食俺よりいいなりしていたな」
「そんならこんな仕事まくりやめてみな乞食になれ」
彼等は腹の底から突き上げて来る憤怒をぐっとおさえて
何気なく笑い合っていた。
みんな、みんなどん底へ落ちるがいい
どん底へ足のとどいた者達は
遂に立つ事が出来るのだ。
馬鈴薯階級の詩 (三)
つくづくと人間並の暮しがしたいと思った
それは自分達の生活が人間並でないからの事。
朝っぱらから雨に降られて
外の仕事の出来ない日
馬小舎の隅で馬糞の匂いにむされながら
俵を編んでいると
疲れ切った体からのそのそと眠気が這い上って来る
久しぶりの雨だと云うのに
半日の休みもなく
此の世に許された唯一の楽しみであるかの如き
睡眠をすら欠いたはげしい労働の日々