Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぎょもん

魚紋

吉川 英治

Read 魚紋 (ぎょもん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 14,582 characters · 30 screens

Aozora Bunko

彼の世からの使

一

彼の世からの使

一

『両国鮓かい、白魚の鮓なざ、ちょっとおつだな』

『師匠、すまないが、茶をも一つ』

次の部屋へ座蒲団をうつして、茶卓を囲みながら、四人は笑い興じた。

そうしている表面の様子は、囲碁仲間の睦じさの他、何も険悪らしいものは無さそうだが、よく見ると、お可久ひとりを繞ってうごく四人の眸には、かなり複雑なものがある。

『忌々しいのう、山岡屋さん、おぬしには今月に入ってからもう七、八両がとこ奪られているぜ。もう一局行こう』

医者の玄庵は、鮓を食べ終ると、早速に又、盤の前へ戻って先に坐りこんでいる。

山岡屋の才助は、落着き払って、

『およしなさいよ。今夜はもう』

『なぜ、なぜ』

『相手を換えて、春作さんと打ってごらんなさい。どうも、玄庵さんとやれば、金はただ貰うようなもんだが、嬰児の手を捻るようで、張合がない』

『ば、ばかにしなさんな。さア、もう一番』

玄庵が力み返ると、みんな笑った。そして、かまきりの伝九郎が、

『じゃあ、おれが一手、御指南しようか』

『ム、幾額賭く?』

『これだけ』

二分銀を盤の下に置く。玄庵も金を出しかけた。

――すると、お可久が、

『おや? ……風かしら?』