Japanese reading practice

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Read 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 261,216 characters · 521 screens

Aozora Bunko

言葉の刃は、相手を片輪にさせないから、ここで存分にえぐるつもり。

たたんだ日傘を膝へのせて、お米は辻堂に腰かけたまま、いうことならいわしてやろうという顔つき。明るい昼を乙鳥が横ぎっても、睫毛一本動かさなかった。

「ふーん……さすが口のうめえお米さんも、今日ばかりはグウの音も出ないとみえる。そうだろうよ、森啓之助様をだまくらかして、お付人を迷子にさせて、影のような男の後を探し廻っているんだからな」

「…………」

「あ、もひとつ、お礼を忘れていた。よくもこの宅助に、鼠薬を食らわせたな! なアに、ああいう酒の味も、めッたにご馳走になれねえものだから、あだやおろそかにゃ思いませんよ。だから、このご恩は一生の間に、チビリ、チビリと、阿波へ帰った上でするぜ」

「知らないよ」

ツイと立とうとすると、

「おっと」

肩をつかんで、

「どこへ行こうッてんだ!」

「わたしの勝手だよッ」

さっきから、ひそかに固く握りしめていた日傘で、宅助の横顔を激しく打った。

「エエ、この女め! よい程に、あしらっておけばつけ上がって、ふざけた真似をしやがると、俵括りにして船底へほうりこんでも、阿波へ突ッ返すからそう思え」