Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
Read 黄金仮面 (おうごんかめん) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,357 characters · 287 screens
ね、見たんだね」
波越氏も警察署長も、明智小五郎の一語一語に驚きを加えて、吸い寄せられる様に聞入っていた。明智の方でも、こうして事の真相をその筋の人々に知らせて行く積りなのだ。
小雪が肯くのを見て、明智は言葉を続ける。
「何ぜ僕がそんな疑いを抱いたかと云うとね、外でもない、君のさっきからの見事過ぎる逃走振りだ。君一人の考えで、これ程順序よく、しかもこんなずば抜けた離れ業がやれるものではない。どうしても、誰か君に入智恵をした奴がある。そいつは、何ぜ、こうまで苦心をして君を逃亡させなければならないのか。外に考え様はない。そいつの悪事を君に見られているからだ。君が裁きを受けて、事の序にそいつの悪事がバレることを、極度に恐れたからだ。そうだね。では、そのもう一人の犯人が何者であるか、どんな風にして美術館に忍び入ったか、君の見たままを話してくれ給え」
だが、小雪は黙っている。考えを纏めているのか。それとも、物を云う力もないのか。
丁度その時、船尾にうずくまっていた、舟の持主の漁師がけたたましい声を立てた。
「ア、妙なものが流れて来た」
驚いた一同が立上ってその舷を覗いて見ると、なる程紙入れの様なものが漂っている。