Japanese reading practice

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こうちょうのなげき

黄鳥の嘆き

甲賀 三郎

Read 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) by 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 40,792 characters · 82 screens

Aozora Bunko

変な羽目で喧嘩別れをしてから、一年ばかりは全く絶交状態だった。その間にも、時々懐しくなったり、済まないような気になったりした。こっちから頭を下げて行くのは業腹だから、じっと辛抱していた。後で聞いて見ると、向うでもやっぱり同じような気持だったらしい。

その後半年ばかりの間に、集会の席で二三度会った。別に睨み合っていたという訳ではないが、それでも打解けなかった。

今日はとうとう耐らなくなって、彼の家を訪ねたのである。

最初は何となく気拙かったが、暫く話しをしているうちに、やはり古い馴染というものは有難いものだ。いつの間にか障壁がとれて、もう昔の通り、君僕の会話になっていた。

二川は顔色が少し悪く、健康状態はよくないらしかったが、予想以上に元気だった。朝子さんの姿が見えないので、

「奥さんは?」と訊くと、

「京都の里へ養生に行っているよ」

朝子さんの里は京都の或る公家なのだ。

「どう悪いんだい」

「なに、大した事じゃないんだ」

と、二川、僕の視線を眩しそうに避けて、話したくない様子なのだ。仲直りをして早々、又気持を悪くさせてもいけないと思って、僕は直ぐ話題を変えた。