Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
くろだじょすい
黒田如水
吉川 英治
Read 黒田如水 (くろだじょすい) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 163,639 characters · 325 screens
姫路の急援には他の人があろう」
「ありません」
「何じゃと」
「官兵衛こそは、寸時たりともお側を離れることはできない。御着全城の兵といっても、千に足らぬご人数、この官兵衛の指揮する者を除いては、尊公たちを将とし、物頭どもを副将として、お差向けある以外、城中どこに軍がありましょうか」
「なぜ、お汝自身、陣頭にお立ちあらぬか。姫路もお汝の父宗円どのが城代として守りおる所。このご城中にも、お汝父子の息がかかっておる部下も多い」
これは一族の小川三河守ででもなければいえないことばだった。しかし、官兵衛は、何の威圧も感じないような面で、それへもこう答えた。
「事は急です。城門の守備は、すでに手の者が配置につき、このご本丸もことごとく官兵衛の一存で、要所要所守らせました。それがしの命はすなわち主命。主命はまた織田殿の軍令も同じである。誰にもあれ、反く者は、この一戦の終るまで、獄へ下して取籠めておくしかない。敢て、今日の合戦に、軍律を紊す者は誰と誰か。お名乗りなさいっ。断乎、処決する」
みな黙った。
しかし戦いは、城の外よりも、或いは、ここにあるかともいえる程、けわしいものが、官兵衛をとり巻いたままだった。