Japanische Klassiker mit Furigana
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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
Lesen Sie いさましい話 (いさましいはなし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.835 Zeichen · 73 Bildschirme
柔らかい弾力のある躯が、哀れなほど震えている。松尾は彼の胸へ顔を埋めるようにし、泣き笑いのようなみだれた声で囁いた。
「そうでございますわ、あなたがお悪いのでございますわ、松尾の気持を察して下さらないのですもの、――いつも平気なお顔で、澄ましていらっしゃるのですもの……なにも仰しゃらずに、黙ってこうして下さればよかったのですわ」
「この木の実はまだ固そうだったからね」
玄一郎の手がやさしく胸へまわると、松尾はああと熱い息をし、両の足をひきつるように縮めながら、さも悩ましげに頭を振った。
「こうして下されば、それでようございましたのに、ただこうして下されば、――それがとのがたの役目ではございませんの、……わたくし待っていましたのよ」
「それで明日の今夜になってようやく勇気が出たというのだね」
「わたくし少しも案じておりませんの、さきほどの笛をうかがって、またひとつあなたという方を知ることができました、――里神楽の笛と今宵の曲と、……いいえ決して決してあなたを負かすことはできませんわ」
玄一郎は黙ったまま、そっと妻の頬に頬を寄せた。縋りついている松尾の手にちからがはいり、にわかに息が熱くなった。