Japanische Klassiker mit Furigana
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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
Lesen Sie いさましい話 (いさましいはなし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.835 Zeichen · 73 Bildschirme
七
「貴方のあとには御兄弟は生れなかったのですな」
津田は静かに眼を伏せ、澄み徹る秋の水を見まもりながら、まるで告白するような調子でこう云った。
「私はごくつまらない人間で、若い時代を愚かなことばかりして過しました、津田という家は筋目のあるもので、父の代までは国老格だったのですが、どうやら私の代で末すぼまりになってしまう模様です、――笈川は人物もよく、才腕もすぐれていて、ずいぶん藩家のお役に立った、それがいま貴方にひき継がれて、これからますます栄えてゆくことでしょう、……まことに人の一生というものは」
津田の言葉はそこで切れた。玄一郎もそのあとを聞こうとは思わなかった。早い落葉がしきりに舞い、川中の白く乾いた岩の上で、鶺鴒が黙って尾羽根を振っていた。
七
九月になるとすぐ、急の使者があって、敦信はにわかに江戸へ立っていった。あとでわかったのだが、幕府から寺社奉行に任命の沙汰があったのである。
これはまったく予期しないことで、玄一郎の立場はかなり困難なものになった。それはその年末に「歳出切下げ」を断行しなければならない。比例は上位は多く、下位には少ないが、扶持も平均して二割ちかい削減だし、一般会計では三割がた削る予定で、すでに江戸での案分計画は出来あがり、玄一郎の手に渡っていた。