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Japanische Klassiker mit Furigana

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いしがおごる

いしが奢る

山本 周五郎

Lesen Sie いしが奢る (いしがおごる) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.304 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

その手つきがぎこちなかったし、受けるいしのほうもへどもどしていたので、またしても女たちがやかましく囃したてた。

「とうさまに云いつけるわよ」

などと云う者もあった。するといしは眼尻をさげ、唇をだらしなくあけてへへへと笑い、斜交いに保馬を見た。

「唇をしめろ、なんというだらしのない顔だ」保馬が云った、「まるで紐がほどけちゃってるじゃないか」

「ごめんなさい」といしが云った、「でもこれでいいって云う人もいるんですの」

女たちが嬌声をあげた。保馬はしげしげといしを眺め、それからゆっくりと云った。

「しみ抜き代はその人が出すのかい」

いしははっとし、急に赤くなったと思うと、また袂で顔を掩った。女たちはますます騒ぎだし、お春がいしの肩を打った。

「しみ抜き代ってなんですか、さあ勘弁しませんよ、人の眼のまえで二度も顔を隠したりして、しみ抜き代とはいったいなんのことですか」

「話してやろうか」

保馬が云うといしはきゃっと叫び、顔から放した手を合せて、躯をよじった。

「ごめんなさい、このとおりです、どうかあのことだけは仰しゃらないで下さい、本当にあのことだけは」

むきな表情であった。