Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

「ケマン?」

これは囚人の隠語だ。

「ムショへ君は行ったことないのかい。ケマンジュウ。毛の生えたマンジュウ」

重箱面はあきれて出て行った。犬の遠吠えが聞えてきた。心細そうな、断末魔のうめきのような、ひどく気色の悪い吠え声だった。

とろとろっとしたと思ったら、また唐紙が開かれて、重箱面がはいってきた。そう思って、

「うるせえな」

蒲団をかぶったら、それを乱暴にひっぺがされた。

「なにしやがる」

ねぼけ眼に映ったのは重箱面ではなかった。ジケイ(刑事)が俺の胸もとにピストルをつきつけていた。そのうしろにアゴヒモをつけた警官が、おっとり刀の恰好で、音のしないようにサーベルの柄を握っている。

「本庁」の奴らに、寝込みをおそわれたのである。俺も重箱も――全部、一網打尽だった。武装警官に包囲されて、俺たちは袋のネズミだった。

警視庁にいったん運ばれて、それから俺は俺のいわばおなじみの「所轄」へ連行された。本庁留置ではない。つまり俺は三下扱いなのだった。カイ(手錠)をはめられて、俺は自動車に乗せられた。早暁の市内はいとも平和な表情だった。モヤがかかって、街はまだ眠りからさめてないなかを、新聞配達が走って行く。