Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
こんなところに逃げ隠れしとることはない。俺がすべてを帳消しにしてやる」
赤ん坊の籍も入れられる? これが俺の頭のなかに閃いた。
「今ごろになってまたなんだって急に……」
俺を呼び出しに来たのか。今まで逃げ隠れさせておいて、急に声をかけるとは、どういうわけか。
「今こそ支那へ行かなきゃならんときだからだ」
そう言う矢萩の眼はいかにも狡そうな光を放っていた。砂馬を狡いと罵ったこの矢萩のほうがずっと狡そうで、しかもそれが小汚い狡さと感じられる。俺は顔をそむけて、
「支那へ行くにつけて、こんなところまでわざわざ俺を引っ張りに来るようじゃ、矢萩さんもいい子分に不自由してるのかな」
ゴロバる(怒る)ならゴロバれ、そんな気持で俺は言った。怒らせてみたい気もしたのだが、
「残念ながら、お前さんみたいな胆のすわった悪党はおらんな」
そんな言葉で俺をおだてた。
「悪党? そう言う矢萩さんは悪党じゃない……?」
「国を思う悪党さ」
「対支強硬論も国を思うため……? 慷堂先生も国を思い、支那を思い……だが矢萩さんのような対支強硬論者じゃないな」
何気なく言った俺の言葉が矢萩をかっと怒らせた。