Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
お父うさん」
俺のことをそう呼んで、波子が駈けてくる。赤ん坊を胸に抱いて、息せき切って、
「電報が――お父うさんがあぶないって……」
こんがらかって、
「俺があぶない?」
「なに言ってんのよ。東京のお父うさんが危篤なのよ」
このお父うさんは俺のおやじの意味にちがいないが、俺のところへ直接、電報がくるわけはない。俺の頭は混乱した。矢萩が何か芝居を打ったんじゃないのか。
「あの屋台のおじさんから、こっちだと聞いて……」
波子も取り乱していた。かんじんの電報を帯に突っ込んだまま、よけいなことを言っている。俺も電報を見せろと言うのを忘れて、
「あわてるな」
と波子を叱った。
「あら、いや。あんたのお父うさんが死にかかってるのよ」
「どうしてそれが分る。事実かどうかあやしいもんだ」
金原が間にはいって、
「さっきの手紙、あけて見たらどうかね」
電報は慷堂が打ってきたのだ。慷堂の手紙を見て、そのわけが分った。俺は、手紙は金原を通していたが、その手紙で自分の居所やガセ名は慷堂に知らせておいた。
俺のおやじが脳溢血で倒れたのだ。さいわい生命はとりとめたが、いつ危険状態に陥るか分らない。