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Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

つかまったら、波子をこうして抱けなくなる。

「つかまったりしちゃ、いや」

と言う波子は、子供ができる前とできた今とはだいぶちがってきていた。波子の言葉は何か不吉な予言みたいにも聞けた。――

「まだ駄目よ。まだ……」

これは、まだつかまったりしちゃ駄目だという意味ではない。

「波子。波子ったら」

波子がさきにのけぞったときに、

「今日は……」

庭先から女の声が聞えてきた。綾子だ。いけねえ。ヒツジマク(障子)をあけられちゃ、かなわねえ。

「ちょっと待って下さい」

と俺はどなった。そしてあわてて身体をおこそうとする波子をひっつかまえて、駄目だと今度は俺が言った。障子をあけるなら、あけるがいいと、俺は俺の痴態をそこに客観的に見るおもいで、その短いいっときの恍惚を楽しんだ。

あの綾子が俺の言う通りおとなしく待っていたのは、ちょっと意外でもあった。俺は身じまいをしながら、わざとドタンバタンと物を片づける音を立てて、

「取っ散らかしたもんで……」

障子をあけて、

「急に東京へ出ることになったもんで……」

あたしもそれでうかがったんですと言う綾子は、珍しく白粉気のない顔だった。その顔はこれも意外に美しかった。