Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
その五 戦争好き
「この間、浅草へ行った」
「浅草がどうかしたのか」
「オカマのロクとかいう男に会った」
「それがどうした」
「もと役者だって……?」
「だから、それがどうしたんだ」
「世間は狭いもんだ。四郎さんを知ってると言ってた」
そして急にヤーさま言葉で、
「四郎さんとヤバイ橋を渡ったとか」
「おい、タマさん。なんだ、そのバコト(言葉)は、俺を何かタタク(おどかす)気か。いいや、オヒャラかす気か」
胸からのどにかけて、このとき、いきなり、熱いかたまりのようなものがこみあげて来た。なんだ、これは? 俺はこごみこんで、咳払いをした。すると俺の口から、がっと真赤なヤイン(血)があふれ出て来た。
その五 戦争好き
実に盛大な喀血をしたのである。身体の調子がどうもおかしいとは思っていたが、肺がそんなに悪くなっているとは知らなかった。これで俺もお陀仏か。病院にかつぎこまれた俺は、
「馬鹿な野郎だ」
ひとを罵るみたいに自分を罵っていた。全く馬鹿な野郎だよ、おめえは。
病院へ駈けつけた波子は気丈に涙をおさえていた。すまねえな、波子。馬鹿な俺を勘弁してくんな。志奈子を頼むぜ。
じめじめしててもはじまらないから、半死半生の俺はごく陽気にしていた。