Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
なんで、こんな男を連れてきたのか。砂馬の眼はたしかにそう言っていた。
それは俺も、俺のほうでつとに疑問に思っていたことだ。丸万と俺だけではと砂馬がいささか俺たちに不信を抱いて、このロクを目つけ役にしたのかとも思ったのだが、それにしてはこんなフウテンじゃ役に立たない。目つけ役なら、それと分らぬように振舞うべきなのに、このロクはてんで駄目だ。
丸万がむしろ俺のためにロクを連れて来たのだ。このロクは砂馬の前では、急に打って変った卑屈な態度になった。ウェイウェイと黄包車でも呼ぶみたいな声で、招待を呼んで、砂馬の小皿を新しいのに変えろと、わざとらしい忠勤振りを発揮した。ここは奥まった雅座――プライベート・ルームの一室である。
このロクの車内の口ぶりからすると、俺が矢萩からも金を取ったことは砂馬にばれている。ロクを連れて来た丸万の配慮によって、俺にそれが分ったのだ。だが、当の砂馬はそれについてはなんにも言わず、
「悲堂先生が死んだな」
「いつ?」
「一週間ほど前……」
俺が東京を発つ直前だ。しまったと、俺は思った。死ぬ前に一度、会っておけばよかった。死んだと聞くと、それがよけい悔まれた。