Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

俺は丸万を呼んだ。丸万はマリちゃんの扉のほうからはいった。富江のほうの扉からはいった俺との間には、たたきに仕切りの板戸があって、お互いに姿が見えなかった。そうして、出入りの客の顔がお互いに分らないようにしてあるのだ。

そうだ、そのころの「銘酒屋」のこの入口のところは、言葉ではうまく言えないから、図で書いておこう。

次のページの図のようになっていたのだ。ここの「銘酒屋」がすべてこの式だったわけではなく、家によってはちがっていたが、今はこうした私娼窟が消失して、こんな不思議な仕掛けの家はもう見られないから、ここに図だけでも残しておこう。

仕切りの板戸の図

丸万は板戸の奥を回って、こっちに来た。眼の下に紫色のくまをつくった富江は、いつもながらの物うげな姿のまま、じろりと丸万の風態に鋭い視線を投げた。丸万はヨオラン(洋服)のズボンの下に、ヨオゲソ(靴)でなく、「煎餅」(雪駄)をつっかけていた。

靴をはいた俺が、上り框へその足を進めると、

「ちょっと……」

と富江が声をひそめて俺を呼びとめた。何か言いたそうな顔で、ホオズキを口の中できゅっきゅっと鳴らした。

「なんだい」