Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
というのは、紀州貝塚の一揆のとき、道益の老父と二人の弟が風摩の一党に焼き殺され、忘られぬ怨みを抱いていたからである。
蘆屋道益もふしぎな運命を負った男だった。道益がまだ泉州の堺にいるとき、遠い縁つづきにあたる陰陽博士の賀茂円明がやってきて、「俺は間もなくこの世においとまをつげるが、その前に言っておくことがある。お前は二人の子供をもつが、気の毒ながら二人とも非業の死をとげる」と占示した。
円明は易にかけては神に近い存在で、その人の占考は絶対に外れのないものであった。道益としても観念するほかはなかったが、自分の行途にそういう暗い運命が待ちかまえているのはかなわないから、血の近い山城の賀茂の一族の中からここ一番という石女を探しだし、叶わぬまでも運命に抵抗してみることにした。
山城の賀茂は社家でいながら、賀茂村から比叡山の水呑に達する広大な領地をもって居り、一族の女たちは国学と古文に凝りかたまって、みな独身で終ってしまう。賀茂は神の子の転化語で、神武天皇の直系だとされ、古くから賀茂の女は孕まずという言伝えがあるくらいだが、それだけでは安心がならず、さんざん選り好みをしたすえ、賀茂資子をもらうことにきめた。