Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
「重さん。おめえは、よっぽどの変り者だのう」
松五郎は、あらためて春重の顔を見守った。
「変り者じゃァねえ。そういうおめえの方が、変ってるんだ。――四角四面にかしこまっているお武家でも、男と生れたからにゃ、女の嫌いな者ッ、ただの一人もありゃァしめえ。その万人が万人、好きで好きでたまらねえ女の、これが本当の匂だろうじゃねえか。成る程、肌の匂もある。髪の匂もある。乳の匂もあるにァ違えねえ。だが、その数ある女の匂を、一つにまとめた有難味の籠ったのが、この匂なんだ。――三浦屋の高尾がどれほど綺麗だろうが、楊枝見世のお藤がどんなに評判だろうが、とどのつまりは、みめかたちよりは、女の匂に酔って客が通うという寸法じゃねえか。――よく聞きなよ。匂だぜ。このたまらねえいい匂だぜ」
「冗談じゃねえ。おいらァいくら何んだって、こんな匂をかぎたくッて、通うような馬鹿気たこたァ。……」
「あれだ。おめえにゃまだ、まるッきり判らねえと見えるの。こいつだ。この匂が、嘘も隠しもねえ、女の匂だってんだ」
「馬鹿な、おめえ。――」
「そうか。そう思ってるんなら、いまおめえに見せてやる物がある。