Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「お前さんにあやまらせようと思って、こんなにおそく、わざわざひとりで出て来た訳じゃァさらさらない。詫なんぞは無用にしておくんなさい」

「なんで、これがお詫せいでおられましょう。愚なおこのが、いらぬことを仕出来しました心なさからお師匠さんに、このようないやな思いをおさせ申しました。堺屋、穴があったら這入りとうおます」

松江は、われとわが手で顔を掩ったまま、暫し身じろぎもしなかった。

霜の来ぬ間に、早くも弱り果てた蟋蟀であろう。床下にあえぐ音が細々と聞かれた。

月

一

「――そら来た来なんせ、土平の飴じゃ。大人も子供も銭持っておいで。当時名代の土平の飴じゃ。味がよくってでがあって、おまけに肌理が細こうて、笠森おせんの羽二重肌を、紅で染めたような綺麗な飴じゃ。買って往かんせ、食べなんせ。天竺渡来の人参飴じゃ。何んと皆の衆合点か」

もはや陽が落ちて、空には月さえ懸っていた。その夕月の光の下に、おのが淡い影を踏みながら、言葉のあやも面白おかしく、舞いつ踊りつ来懸ったのは、この春頃から江戸中を、隈なく歩き廻っている飴売土平。まだ三十にはならないであろう。